かつては新婚旅行や社員旅行の定番として栄えた熱海。
しかしバブル崩壊以降は観光客の減少が続き、「さびれた温泉街」として語られることもありました。
ところが近年、「熱海がまた元気になってるらしい」「若者やカップルにも人気」といった声がネットやテレビでも多く聞かれるように。
観光地としての注目度が再び高まっています。
2023年には熱海市の年間観光客数が約820万人に達し、コロナ禍からの回復とともに過去10年間で最大規模となりました(静岡県観光統計より)。
本記事では、熱海が観光地として復活した背景とその理由を、一般旅行者の目線で分かりやすく解説します。
旅行先を検討中の方や、今の熱海が気になっている方はぜひ参考にしてください。

一度は「終わった」と言われた熱海の過去
昭和〜平成初期まで、熱海は日本を代表する温泉地として大いに栄えていました。
海と山に囲まれ、温泉・海産物・リゾートホテルと三拍子そろったエリアで、団体旅行の聖地ともいえる存在でした。
しかし、バブル崩壊を境に団体旅行のニーズが減少し、ホテルや旅館の倒産、シャッター通り化が進行。
2000年代初頭には年間観光客数が500万人を下回る年もあり、一時は「観光地としての役割を終えた」との声も上がっていました。
さらに高速道路や新幹線の整備によって「通過型観光地」と化し、滞在時間の短縮が深刻な課題に。
地元でも「もう昔のようには戻らない」と言われるほど、一時は活気を失っていたのです。
復活のカギ①:再開発と話題の新スポット
熱海が復活した理由には、熱海の再開発と新スポットの誕生が大きいです。
駅周辺の再整備と観光客の回帰
熱海駅のリニューアルをはじめ、駅ビル「ラスカ熱海」の開業によって、アクセス直後から楽しめる観光拠点が整いました。
観光客の第一印象を左右する駅前の印象が改善されたことで、「熱海っておしゃれになったね」という声も増加。
映えるスイーツやカフェの登場
「熱海プリン」や「いちごBonBonBERRY ATAMIHOUSE.」など、見た目も楽しいスイーツ専門店が続々登場。
若い女性やカップルの間でSNSを通じて拡散され、トレンドスポットとしての地位を確立しています。
また、熱海銀座通りには個性的なカフェやレトロな喫茶店も多く、歩いているだけで楽しめる通りとしても再注目されています。
リノベーション宿が話題に
古い旅館を活かしたリノベーション宿泊施設も人気の理由の一つ。
昔ながらの温泉文化を残しながら、内装はモダンで快適。
若年層からも「また泊まりたい」と高評価を得ています。
最近では一棟貸しタイプの宿や、グランピング体験ができる施設も増え、「ただ泊まる」から「体験する」宿泊へと進化しています。
実際に熱海銀座周辺では、60店舗中11店舗が2022〜2023年に新規オープンするなど、出店ラッシュが進行中。
宿泊施設でも、熱海ニューフジヤホテルが週末ほぼ満室の稼働率を維持しており、大学生など若年層の利用が目立ちます(出典:日テレNEWS)。
復活のカギ②:SNS映えと情報発信の進化
新スポットの登場によって、そして時代の移り変わりで、熱海に好景気をもたらします。
熱海の魅力を伝える“映え”スポット
青い海と空、温泉街の石畳、ノスタルジックな商店街……写真映えする要素に事欠かないのが熱海の強み。
カメラを片手に歩くだけで、投稿したくなる風景に出会えます。
特に「サンビーチ」や「親水公園ムーンテラス」など、海と街が一体になった風景は絶好の撮影スポットとして人気です。
ユーザー発信で広がる口コミ効果
熱海の再ブームは、観光客自身のSNS投稿によって支えられています。
「#熱海旅行」などのタグが人気で、検索すればリアルな旅行記やスポット紹介がすぐ見つかるのも、訪れる人の安心材料に。
Instagramで「#熱海旅行」の投稿数は、2023年時点で50万件を超えており、SNSでの熱海人気の高さが数値からも明らかです。
YouTubeやTikTokでも「熱海旅行Vlog」などの動画が多く投稿されており、映像を通じて「行ってみたい」という気持ちがさらに高まっています。
地元の情報発信力も強化
商店街や個人店がInstagramやX(旧Twitter)を活用し、イベントや新商品の情報を発信。
観光客との距離を縮める取り組みが浸透し、地域ぐるみで魅力を高めています。
さらに最近では、インフルエンサーを招いたPRイベントも行われ、戦略的な情報発信によって話題性を生む工夫も見られます。
復活のカギ③:地元と行政が連携した観光戦略
また、民間だけでなく、行政も手を取り合って、熱海の復活が成し遂げられたのです。
観光イベントの継続と進化
海上花火大会、熱海梅園のもみじ祭り、桜まつりなど、年間を通してイベントが豊富。
これらの行事は毎年パワーアップしており、季節ごとに違った熱海の魅力を楽しめるようになっています。
特に海上花火大会は、海と山に囲まれた地形のおかげで音が反響し、他の花火大会とは一線を画す迫力と美しさがあると高評価です。
熱海海上花火大会は年間10回以上開催されており、1回あたりの来場者数は約5万人ともいわれています。
SNSを通じてその迫力が拡散され、県外から訪れる観光客の動機にもなっています。
観光案内所やサービスの充実
駅前や観光地にある案内所では、英語対応や手荷物預かりなどの便利なサービスが増加。
はじめて訪れる人にもやさしい設計で、観光満足度を押し上げています。
また、熱海市公式サイトやアプリではリアルタイムでのイベント情報提供、混雑状況の可視化など、観光者ファーストの取り組みが進められています。
民間企業との連携によるまちづくり
行政だけでなく、民間企業と連携した地域プロジェクトも推進中。
熱海では「リノベ熱海プロジェクト」などの民間主導の取り組みも活発で、空き家や古い施設を活用したカフェ・ギャラリー・シェアオフィスなどが続々と誕生。
新しい働き方や暮らし方と観光を結びつけた成功例としても注目されています。
空き家を活用した店舗やアートスペースが誕生し、「住むように旅する」スタイルも広がっています。
こうした取り組みにより、熱海は「日帰り観光地」から「滞在型・体験型観光地」へと変化を遂げつつあります。
こうしたまちづくりには、地元出身の若者たちが中心となり積極的に関わっており、彼らの活動が「熱海の奇跡」とも称されるV字回復の原動力になったとされています(出典:東洋経済)。
リピーターが増えている理由とは?
復活を成し遂げた熱海ですが、リピーターが増えたことには小歯にも理由があります。
コンパクトで巡りやすい街の魅力
徒歩やバスで主要な観光地を巡れるコンパクトさが魅力。
移動ストレスが少なく、1泊2日でもしっかり楽しめるのがリピーターの多さにつながっています。
駅から徒歩圏に温泉、ビーチ、グルメ、カフェ、商店街がそろっているため、「行く場所に困らない街」として高評価を得ています。
遠方からは新幹線で訪れることもできる熱海。
乗車するときは、シートのリクライニングにも気をつけたいですね。
新幹線のリクライニングのマナーについては、こちらをご覧ください。
新旧のバランスが絶妙
レトロな喫茶店と新しいカフェが並び、昔ながらの温泉街とスタイリッシュな宿泊施設が同居。
どこか懐かしくて新しい、そのバランス感が心地よいと評判です。
昭和の風情が残る街並みと、現代的な快適さが絶妙に融合している点が、他の観光地にはない個性を際立たせています。
年齢・目的を問わない多様性
一人旅、女子旅、家族旅行、シニア旅行……どんな層にも受け入れられる多様な魅力が詰まっており、「また来たくなる」と感じる人が多いのも納得です。
また、最近ではワーケーション需要にも対応した宿泊施設も増えており、「働きながら癒される場所」としても注目を集めています。
まとめ
熱海は、単なるリゾート地ではなく、「懐かしさ」と「新しさ」が共存する稀有な観光地へと進化しました。
再開発・SNS・地域連携といったさまざまな要素が重なり、若者から高齢者まで幅広い層に再び愛される存在となったのです。
今後もさらなる変化を遂げるであろう熱海。あなたも次の旅行先候補として、もう一度“熱海”に目を向けてみてはいかがでしょうか?